アルコールが身体にもたらす影響について、体内で生成される毒素、肝臓をはじめとする内臓機能の低下、それらに伴う栄養失調など様々なデメリットを前回まで解説してきました。
今回はそのまとめとして、食事や栄養を利用したアルコールへの上手な対処方法をお伝えしたいと思います。
まずはアルコールの分解に伴い、ビタミンB群や鉄、亜鉛や糖質などの栄養素が体内では消費されていました。
また、マグネシウムの尿内排出や腸でのグルタミン吸収抑制といった代謝に関わること以外にもいろいろな作用がありました。
グルタミンは腸のエネルギー源となると同時に、アセトアルデヒドによるタイトジャンクション(腸壁)の障害予防の効果も認められています。
さらに腸へのダメージ(炎症)を軽減するものとして、シンバイオティクスも有効とされています。
シンバイオティクスとは、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌(プロバイオティクス)と、それらを増殖させるための食品(プレバイオティクス)を合わせて摂取することです。
プレバイオティクスにはオリゴ糖や食物繊維などの難消化性成分が多く、善玉菌を育てる他にも血糖値の抑制やミネラル吸収というような様々な役割があります。
腸だけでなく、アルコールは肝臓で分解されるため、肝臓への負担が大きくかかります。
肝臓への負担を軽減するためには、抗酸化、抗炎症の効果を持つイソフラボンやレモン汁、ポリフェノールを含むお酢などが効果的であり、摂取することでアルコールによる肝機能の低下や肝疾患を予防する働きがあります。
こういったことから、飲酒時のおつまみにはどのような物を食べるのがよいでしょうか。
例として、おすすめの食品を下記にまとめてみましょう。
【おつまみ食材例】
・枝豆、豆腐(食物繊維、マグネシウム、グルタミン、イソフラボン)
・納豆、キムチ、チーズ(グルタミン、プロバイオティクス)
・たまご、だし巻き(亜鉛、ビタミンA、グルタミン)
・レバー(鉄、亜鉛、ビタミンA)
・マリネ、酢だこ(レモン汁、ポリフェノール)
・サラダ(食物繊維、ビタミンAやB群)
・果物類(オリゴ糖)
・おにぎり、ご飯(ブドウ糖)
アルコールは頭痛や吐き気といった表面的な不調だけでなく、肝臓をはじめとする臓器や体内にも悪影響を与えます。
過度な飲酒を避けることが一番ではありますが、どうしても日常的に飲酒量が多い方、飲酒後に不調を感じやすい方は上記のような食材や栄養素に気をつけて、上手にアルコールを摂取するよう心がけておきましょう。
アルコールと栄養③