トレーニング理論 ピラティス・ヨガ 身体について

腰痛-深層筋-

腰痛解消、または痛みの予防のために、日常動作や姿勢はとても重要です。
身体の中心部である腰には常に多方から負荷がかかっており、座りっぱなしや不良姿勢によってその負荷は増大し、腰椎を強く圧迫してしまいます。

正しい姿勢や動作、背骨の適切なカーブを維持することはこの圧迫によるダメージを軽減し、痛みから腰を守るために欠かせない基本的な身体の機能と考えられます。

ではトレーニングによって腰部や腹筋群を鍛えることは、腰痛改善にどのような効果があるでしょうか。

一般的に腹筋を鍛えるというとお腹の表面にある腹直筋をイメージされますが、この腹直筋は腰椎を圧迫する負荷(剪断力)に対して20%ほどしか力を発揮せず、あまり抵抗することができません。

これは腹直筋が肋骨から骨盤にかけて付着している表層筋であり、腹筋動作のように身体を曲げることが主な働きとなるからです。

筋肉はくっついている骨に対して働きかけ、関節を曲げ伸ばししたり動かないように安定させたりすることができます。
そういった理由から、腰の骨である腰椎に直接付着している筋群をしっかり働かせることが腰部を安定させ、痛みの予防にも有効な手段と言えるでしょう。

腰椎に付着している筋群は、身体の奥のほうにあるため深層筋、あるいはローカル筋とも呼ばれます。
その筋群の一つに多裂筋という筋肉があり、この筋肉が腰部の安定と腰痛改善に大きな役割を果たします。

多裂筋は背骨の両脇を首から腰にかけて一つ一つまたぐように付着しています。
その働きとして背骨の伸展や回旋にも作用しますが、小さく短い筋肉のため動きはごくわずかです。

主な働きはやはり背骨の安定性保持であり、腰痛を発症している人の中にはこの多裂筋が萎縮しているケースがよく見られるということです。

多裂筋を含むローカル筋の特徴は、動作よりも姿勢機能を優先し、疲れにくいところにあります。
疲れにくいということは筋肉の持久力が高く、腰部の安定性や動きのコントロールを常に維持することができます。
そのため腰の痛みは筋力の強さよりも筋持久力に関係し、疲労しにくい腰部を作ることは腰痛の発生リスクを低下させてくれるでしょう。

ローカル筋のトレーニングはそこまで大きな負荷を必要とせず、正しい動作と姿勢を保つことが求められます。
多裂筋の場合は背骨を反らせた伸展位で活性化されるので、動作の補助にもなるマシンピラティスは体勢をコントロールしやすく、ローカル筋のトレーニングにも良い効果をもたらしてくれます。

このように腰痛改善を目的としたトレーニングでは、腹部や背中の大きい筋群だけでなく、深部の小さい筋群にも焦点を当てていかなければいけません。
腰がすぐに疲れてしまう、同じ姿勢を保つのが苦手、表層部ばかりをトレーニングしている、という人はローカル筋の働きが弱くなっている可能性も考えられます。

筋力と筋持久力、動作や姿勢を保つ能力など、自分に足りない要素を見つけてバランスよく身体作りを実践していきましょう。

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