身体について

首の緊張

前回、原因の特定できない身体の不調、頭痛やだるさなど様々な症状を引き起こす不定愁訴についてお伝えしました。

不定愁訴とは、その直接的な理由はわからないものの自律神経やホルモンバランス、あるいはなんらかの病気が関係して発症していることが多いとされています。

その考えられる要因の中には、首の緊張や凝りも含まれており、特に女性の不定愁訴を引き起こすきっかけになると言われています。

首の骨にあたる頚椎は背骨の上のほうの部分で、正確には24個積み重なっているブロック状の椎骨の上から7個を頚椎と呼びます。

頚椎を構成する椎骨は、それぞれが細かい筋肉や靭帯に囲まれており、複雑に連なっています。
そうすることで重い頭部を支えながら、前後左右あるいは回旋など比較的大きな動作を行うことができています。
安定性と可動性を備えるためには、多くの筋群の協同的な働きが欠かせません。

また頚椎には、脳と直結する脊髄を保護する役割もあります。
頚椎(椎骨)の中央には脊柱管というトンネルのような空間が空いていて、その中を脊髄が通っています。

脊髄とは神経線維の集合体で、脳と脊髄を合わせて中枢神経系と呼ばれます。
この脊髄からはさらに神経が枝分かれし、背骨(椎骨)の隙間から末梢神経として手足に伸びていきます。
細く伸びた末梢神経の根元は神経根といい、運動や感覚を司る役割を持っています。

首の骨にあたる頸椎周辺には、僧帽筋や胸鎖乳突筋、頭板状筋、頭半棘筋、斜角筋や大後頭直筋など小さいながらもたくさんの筋肉が付着しています。

これらの筋群の緊張や硬さがどういったメカニズムで影響を与えるかははっきりとわかっていませんが、首の凝りは自律神経に作用し、副交感神経の働きを低下させると言われています。

自律神経の乱れは、先に挙げただるさや頭痛など不定愁訴の諸症状を発症しやすくなります。
頭の重さは大した違いがないですが、首の細さや筋肉量には差があるため、女性のほうが首を凝りやすく、その分身体の不調も頻繁に感じているかもしれません。

筋緊張と自律神経の働きの仕組みは正確にはわかっていませんが、不定愁訴を抱えている人の中には首の不調や凝りも併発しているケースが多く、それらの人たちを対象に首の緊張緩和、頸部筋群の治療などを行うことで症状が大きく改善されたという研究も実施されています。

もちろん原因は首だけに限られませんが、身体の不調に大きく作用する部位であることは間違いありません。
動きやすい反面、筋肉も小さく硬くなりやすいので、普段から不良姿勢による筋緊張を避け、冷えなどによる血流低下にも気をつけて過ごすように心がけておきましょう。
頸椎を含む背骨全体の運動やトレーニングも首の柔軟性を保ち、不調を遠ざける良い習慣になってくれます。

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