ピラティスについて


リビタムではお客様に合わせていくつものトレーニング方法やエクササイズを取り入れていますが、その大半を占めているのがピラティスです。
特にマシンを使ったピラティスでは、身体を鍛えるだけでなく柔軟性や動作の改善など様々な効果が望めます。
こちらではそのピラティスの特徴や効果、歴史や発展についてもお伝えしていきます。


ピラティスとは

ピラティスはおよそ100年ほど前、ドイツ人のジョセフ・H・ピラティス氏によって創られたトレーニング方法です。
ピラティス氏自身が実践してきたトレーニングを原型に、第一次世界大戦中に仲間の兵士たちへ向けて日々のエクササイズやリハビリ運動を教えていく中でそのメソッドは構築されていきました。
現在では主にマットピラティスとマシンピラティスの二つに分類されることが多いです。

ピラティスと聞くと体幹トレーニングや腹筋、また女性向けのエクササイズといった印象が強いかもしれません。
これは負傷した兵士や怪我人に対して寝たままでもできるトレーニングが基になっていること、戦後アメリカに渡った後は多くのダンサーの間でピラティス氏のメソッドが広がっていったことがその理由と考えられます。

しかしピラティスのコンセプトは「理想的な身体を健全な精神とともに作り上げる」ことであり、年齢や性別を問わず誰にでも有効なものです。
呼吸を重視した動作は身体と心にも働きかけ、精神の安定を生みます。
またリハビリのような小さな動きからダイナミックな全身運動まで行うことで、左右差や自分の弱い部分を感じ取って修正し、さらに身体の大小さまざまな筋肉がバランスよく鍛えられていきます。

そしてピラティスの特徴となる、背骨の長さを保ち、筋肉の弾力性や関節の柔軟性を高めることで、力だけでなく柔らかさも向上し、痛みや怪我のリスクを軽減させてくれます。
これが人間本来が持つ、健康で健全な身体そのものであり、ピラティスはそれに近づくための一つの手段だと言えるでしょう。

※マットピラティス
ピラティスにはもともと決められたエクササイズを決められた順番に行うという流れがあり、これがマットピラティスの始まりでした。
自体重のみを負荷にし、全身を制御するための身体機能や体力を身につけていきます。自身をコントロールする能力を高めることは様々なスポーツに限らず、心身の健康や快適な日常生活を送るためにも欠かせない要素となります。
現在では個人の身体や体力に合わせてエクササイズのバリエーションも増え、ピラティスリングやボールなどのツール(道具)を使うことでマットの上だけでも十分な効果を得ることができます。

※マシンピラティス
ピラティスにはピラティス氏が考案した専用のマシンがあります。
リフォーマーやチェア、キャデラック、ラダーバレルといったそれらのマシンは、それぞれがベッドや椅子、酒樽などをモチーフに作られ、どれも特徴的な形をしています。
マシンを使うことで姿勢の安定性や動作の正確性が向上し、より効率的にエクササイズを行うことができます。またスプリングによる負荷を高めることでエクササイズの難易度も上がり、体幹や四肢をコントロールするための筋力トレーニングにもなり得ます。
一見難しそうなイメージのあるマシンピラティスですが、動作の習得や身体の歪み改善にも効果があり、運動初心者や低体力の方にもとてもおすすめです。


ピラティスの歴史


ジョセフ・H・ピラティス​

ジョセフ・H・ピラティスは1883年にドイツの田舎町に生まれました。
ジョセフはもともと身体が弱く、幼少期はリウマチ熱や喘息、くる病などに悩まされ、とても病弱でした。そこで自分の健康を改善するために、心と身体を強くする方法を模索し始めました。
早くから彼は、文武両道という昔からの理想的な人物像に興味を持っていました。その目標を追い求め、彼はボクシングやレスリング、体操、ヨガ、座禅を体験しました。 20世紀初頭のドイツは、ムーブメントサイエンスやダンス、心理学の分野で活躍する人が多く存在し、それらを模索するに充分な下地があったようです。

ピラティス「コントロロジー」の誕生

第一次世界大戦が勃発したころ、ジョセフはボクサーとともにイングランドツアーをしていました。戦時中、彼は在住外国人としてランカスター近くの収容所に拘束されました。​
収容所では、拘留者の先頭に立って日課のエクササイズプログラムを指導しました。 ​ジョセフによれば、1918~1919年にインフルエンザが流行したとき、彼が率いるエクササイズを行っていた者の中で体調を崩した人はいなかったそうです。​彼のグループが成功したことで、収容所のリーダーが注目することとなり、マン島の病院で病棟勤務員としての仕事に就きました。
そこでは30名の患者の担当となり、毎日欠かさず患者が動ける範囲のエクササイズを行いました。 ​これは、西洋医学がまだ未熟で、手術かモルヒネの投与以外の治療法があまりなかった頃のことでした。
この時代の看護はベッドで安静にすることであり、それは筋萎縮、有酸素容量の欠乏、免疫力の低下をもたらしていました。​ジョセフのエクササイズは、患者の回復力を早め、 同じような状況下で多くの人が命を落とした第2次感染を避けるのに役立ちました。
病棟勤務員として働いたことで、ジョセフは最初のエクササイズ器具作りにとりかかることとなりました。
30名の患者を手作業で毎日見ることは大変だったので、ジョセフは患者のベッドの枠にスプリングを付けるというアイデアを思いつきました。 ​こうして最初のキャデラックと呼ばれるマシンが生まれました。​おかげで、患者はジョセフの監督のもと自分でエクササイズができるようになりました。​

アメリカでの「コントロロジー」の発展​

ジョセフは収容所から釈放されてドイツに戻ると、「ブラウンシャツ」と呼ばれるナチ突撃隊員から、警察部隊の訓練をしないかという話が持ちかけられました。しかしジョセフはナチ軍のためには何もしたくないと考え、船でドイツを出てアメリカへと向かいました。
その旅の途中で、将来妻となるクララと出会いました。クララは看護士でしたが、ジョセフの真のパートナーとなり、毎日スタジオの彼のそばで働き、彼が看たがらなかったクライアントの世話をしていました。​
ジョセフとクララが1926年にニューヨークに到着すると、彼らは8番街のニューヨークシティバレエと同じビルにスタジオを構え、ジョセフが名付けた「コントロロジー」を教え始めました。このコントロロジーが現在600種類を超えるエクササイズ、ピラティスメソッドとなります。​

YOUR HEALTH​

ジョセフの著書、「YOUR HEALTH」の中で、ジョセフは、体と心のバランスについて触れ、それは身体の筋肉の動きすべてを意識的にコントロールすること、体の骨格を構成する骨によって働く梃子の原理を正しく活用すること、身体のメカニズムについて完全に理解すること、そして、活動中や休息中、あるいは睡眠中の体の動きに、均衡の法則と重力の法則がどの様に働いているかをよく理解することだ。​
これらの知識を「コントロロジー」と名付けたとあります。そして、コントロロジーの技法と原理が広く受け入れられ実践されれば、精神的苦悩と身体的苦痛が世代を追うごとに軽減し、人生が真の喜びとなるはずだと書いています。​


ピラティスの原理原則


ピラティスには、エクササイズを行う上で基本となる原理原則が存在します。
エクササイズの表面的な形だけでなく、これらに則って動くことで動作の質は高まり、身体も変化します。
ピラティスの基礎として、常に意識しておきたい重要なポイントとなります。

Breathing 呼吸

正しい呼吸は循環機能を高め、内臓や神経、筋など全身を活性化してくれます。
また呼吸に意識を向けることで身体の緊張や硬さを緩め、なめらかな動作を導いていきます。
ピラティス氏も当初から呼吸の重要性を説き、特に息を吐くことに重きを置いていました。

Concentration 集中

自身に意識を集中し、身体や動きの状態を感じ取っていきましょう。
気づきを得ることでなんらかの変化を与えることができます。

Centering 中心化

動きの土台は身体の中心部にあります。
強く安定したセンターを作ることで動作や姿勢の適正化、ムーブメントの効果が高まります。

Control 調整力

力のバランスや左右差、動きと動きを繋げる協調性、姿勢の歪みなどをコントロールすることで正しく効率的な動作が身に付きます。
自然で力みのない動作が習得できるよう一つ一つ身体を整えていきましょう。

Precision 正確性

身体や動作を理解して正しい動きを行うことは、関節や筋などへかかる余分な負荷を減らし、怪我の予防や回復にも繋がります。
正確なアライメントや姿勢を心がけ、保ち続けられる体力も不可欠です。

Flow 流れ

リズムよく流れるような動きが全身を統合し、筋力や柔軟性をバランスよく高めます。
そのためにも呼吸や身体内部への意識、動きの制御など各要素を大切にしていきましょう。


ピラティスの効果・特徴


ピラティスには身体を強くすること以外にも様々な効果や特徴があります。
次はピラティスでよく使われる用語とともに、それらをご紹介していきます。

エロンゲーション(軸の伸長)
背骨の隙間を引き伸ばすことでインナーマッスルが活性化し、椎間への負荷も軽減され障害予防にもなる。

アーティキュレーション(分節的な動き)
椎骨一つ一つを意識して動くことで、背骨の可動域や柔軟性、動作機能が高まる。

アライメント(骨の配列)
筋の長さや関節のポジションを整えることで骨の並びを正し、不良姿勢の改善、バランスのとれた身体の状態を作る。

パワーハウス(コア)
横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群といった身体の中心を支える筋群を働かせ、体幹の安定性や全身の連動性を高める。


上記以外にもピラティスには様々な効果、心身へのメリットがあります。
ご自身の目的やお悩みを良くするエクササイズの一つとして、ぜひご体験ください。

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