トレーニング理論

パフォーマンスピラミッド

今回はスポーツやダンスなどのパフォーマンス向上、または普段の身体づくりにも重要なパフォーマンスピラミッドの理論をご説明します。

上の図でも表していますが、身体づくりやトレーニングで鍛えられる要素はいくつかのカテゴリーに分けることができます。
そしてそれらのカテゴリーはばらばらに存在しているわけではなく、土台となる基礎的な要素の上に別の要素が成り立っているので、まさにピラミッドのように示されています。

ピラミッドの要素を一つずつ見ていくと、一番下は「POSITION」となっており、これは関節の可動性や安定性、骨格のアライメントなど身体を動かすための基礎的な部分です。
関節が適切な範囲で動き、且つ支えてくれることができる状態でないと、スクワットやベンチプレス、ランニングなど負荷の高いトレーニングをいきなり行っても怪我をしたり十分な効果が得られなかったりしてしまいます。様々な動作を遂行するために、まずは身体のポジションを整えておくことが大切だということです。

下から二番目の要素は「MOVEMENT」で、機能的な動作や動作パターン、つまりは正しい動きができているかという要素になります。
身体の姿勢や関節のポジションが正常であっても、正しく動作が行えるかどうかもパフォーマンスの向上に不可欠です。
スクワットを例に出すと、重りを持って負荷をかける前に正しくしゃがめることができないとまた怪我などのリスクが高くなってしまいます。関節それぞれの可動性や柔軟性が十分でも、多関節動作(多くの関節を使う動き)など複雑な動きになると不安定になってしまうことがほとんどです。
整えた身体を正しく動かしていくことが次に求められてきます。

その上の要素は「POWER」であり、筋力やスピードのことを表します。
身体のバランスや正しい動作パターンを獲得しても、そこに力強さや速さがなければより高いパフォーマンスは得られません。スポーツでいえば相手に負けない強さや動作の速さ、ダンスやバレエでも身体を支える筋力、動きにキレを出すスピードも必要になります。もちろん日常生活においても加齢とともに筋力は減少してしまうので、姿勢や普段の動作を維持するための筋力は、健康寿命を伸ばすという観点からもとても重要な要素だと言えます。

一番上の「SKILL」は、スポーツやダンスそれぞれに特化した専門的な技術の部分です。
競技者であれば、土台となる3つの要素をしっかりと築いたうえで競技に特異的な動作、技術を磨くことで確実なパフォーマンスの向上、さらには怪我のリスクも減らすことができます。
特にスポーツや競技を行っていない人の場合は日常の生活がこのピラミッドの一番上にくるので、同じように土台を大きく作ることが怪我や障害予防につながり、機能的で健康的な身体づくりであると言えるでしょう。また、トレーニングやピラティスにも「SKILL」は存在するので、できない種目やピラティスエクササイズがある場合にも、まずは基礎的な身体の要素が備わっているか確かめてみると良いかもしれません。

このように身体づくりに必要な要素は一つ一つ密接に関係していて、各要素をバランスよく鍛えることで効率よくパフォーマンスを高めることができます。
土台が築けていない状態で「POWER」や「SKILL」を大きくしていってもいずれピラミッドが崩れてしまいます。(怪我のリスク)
痛みや身体の不調を抱えたままスポーツや運動を続けているというケースも多く見受けられます。より長く、より楽しく競技や運動を続けるために、身体の基礎的な部分を見直してみるのはいかがでしょうか。

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