ピラティス・ヨガ 身体について

下肢静脈瘤

身体の中を流れる血管には、動脈と静脈の2種類があります。
動脈には心臓から送り出された血液を全身に流す働きがあり、反対に静脈には動脈によって送られた血液を心臓に戻す働きがあります。

動脈と静脈は、どちらも内膜、中膜、外膜の3層構造になっていて、膜の厚みや弾力に違いがあります。
もう一点の違いは、静脈には血液が逆流しないための蓋のような弁があり、これがあることで血液を一定方向に流すことができます。

人間は立って歩くので、脚の静脈は重力に逆らって下から上へと血液を送らなければなりません。
この血液の流れを静脈還流と呼び、これをスムーズに行うために静脈の弁が重要な働きをしています。

静脈弁は、血液が心臓に向かって流れる時だけ開くようになっており、脚へ血液が戻ってしまうのを防いでくれています。
しかしなんらかの原因でこの弁が壊れてしまうと、血液は心臓へ戻ることができず、下方の静脈に血液が溜まっていってしまいます。

血液が溜まった状態が続くと、血管を覆っている膜が少しずつ引き伸ばされて太くなり、徐々に曲がりくねった形へ変化していきます。
曲がりくねった血管は脚の表面でコブ(瘤)のように見え、この症状を下肢静脈瘤と言います。

下肢静脈瘤は、動脈の詰まりが原因の脳梗塞や心筋梗塞のように大きな症状はありませんが、脚のむくみやだるさなど慢性的に身体に影響を与えます。

むくみやだるさの症状は、基本的にふくらはぎから起こります。
血液は時間とともに足先へ溜まっていくので、夕方や夜になると強く症状が現れてきます。

発症しやすいのは脚をあまり動かさずに立ち仕事をしている人、また血液を戻すのは筋力も関係するため、男性よりも女性、さらには高齢者の方のほうが血液の流れが悪くなりやすく下肢静脈瘤を引き起こしてしまいます。

筋力以外にも血管はホルモンの影響を受けて変化します。
女性は妊娠時にプロゲステロンというホルモンによって、静脈の膜が弛緩し拡大する場合があります。

静脈が肥大すると血流を維持していた弁が壊れたり機能が低下しやすくなり、その結果下肢に静脈瘤ができやすくなってしまいます。
出産後に自然と改善することもありますが、むくみや血管の滞留がそのまま残ってしまうケースも少なくありません。

症状が重くなってくると薬や手術による治療も必要となりますが、まずは適度な運動や生活習慣の改善によって基本的な治療、症状の予防をしていきましょう。

血液を心臓に戻すのは静脈弁だけでなく、筋肉にもその働きがあります。
特にふくらはぎの筋肉は血管を圧迫してポンプのように血液を送り出してくれます。
つま先やかかと上げ、もしくは入浴中や寝る前にふくらはぎのマッサージをすることでも血流の改善が見込めます。

また血液は立ちっぱなしや座りっぱなしによって足先へと流れていってしまいます。
反対に寝転がって脚を上げる動作、ヨガであれば逆転のポーズやリラックスポーズ、マシンピラティスではリフォーマーを使用して脚を上方に動かすエクササイズや足関節のトレーニングも多数行うことができます。

夜になると脚がむくみやすい、だるさや痛みが常にあるという方は日常生活を見直し、日頃から歩く機会や運動習慣をぜひ身につけていきましょう。

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