人の身体や動きを見る時、大切なポイントとして「運動連鎖」という考え方があります。
運動連鎖とは、一部分の関節の動きが他の関節にも連動して影響を及ぼす仕組みのことをいいます。
例えば、腰の骨にあたる腰椎が反っている場合、その下にある骨盤は前方に引っ張られるように前傾してしまいます。
反対に腰椎が丸まっている姿勢では、骨盤も後方へ倒れるように後傾していきます。
このように、骨や筋の動きは他の部位にも波及していくため、そのことを考慮して姿勢や動作を見ていかなければいけません。(腰が反っている原因が他の部位にあるかもしれないというように)
さらに、この運動連鎖は「上行性運動連鎖」と「下行性運動連鎖」の二つのパターンに分けることができます。
上行性運動連鎖とは、足部の異常な構造や運動が、上方へ連鎖的に波及して上半身や顔面にまで影響を与えるというパターンです。
少し難しい話となりますが、足首が内側に倒れるような回内動作が起きた場合、その影響によって膝や股関節も内側に引っ張られ、骨盤は前傾位になるという連鎖のシステムです。
この運動連鎖には法則性があり、足首が内側に倒れるパターン(足部回内)と、反対に外側に倒れるパターン(足部回外)を簡単にまとめてみましょう。
【足部回内パターン】
距骨下関節回内(足首が内側に倒れる)
↓
脛骨内旋(脛が内向き)
↓
膝関節屈曲・外反・内旋(X脚)
↓
大腿骨内旋(太ももの骨が内向き)
↓
股関節屈曲・内転・内旋(内また)
↓
骨盤前傾(反り腰)
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【足部回外パターン】
距骨下関節回外(足首が外側に倒れる)
↓
脛骨外旋(脛が外向き)
↓
膝関節伸展・内反・外旋(O脚)
↓
大腿骨外旋(太ももの骨が外向き)
↓
股関節伸展・外転・外旋(がに股)
↓
骨盤後傾(腰が丸まる・受け腰)
上記のような流れで、足部のアライメント不良がそのまま身体の上方へと影響を与えていくこと、これが上行性運動連鎖の代表的なパターンとなります。
つまり、X脚やO脚など膝になんらかのアライメント異常が見られたとしても、その原因は足部にあるかもしれません。
土踏まずが低く、足首が内側に倒れてしまうような状態では、上行性の運動連鎖によって膝が内側に向いてしまいます。
そのような場合は、X脚の改善のために膝だけにアプローチするのではなく、足部の修正にも目を向けることができます。
必ずしも一部分だけを見ずに、他の関節や動作も観察することが大切になってきます。
ただし、先程のX脚のケースで足部に大きな異常が見られなかった場合、もしかしたら股関節や骨盤からの影響を受けていることも考えられます。
これは上行性運動連鎖とは反対のパターンとなり、下行性の運動連鎖と呼ばれます。
こちらのパターンについてもまた次回ご説明していきたいと思います。
上行性運動連鎖