トレーニング理論 身体について

股関節の痛み

前回、骨格による柔軟性の違いについてお伝えしました。
関節の柔らかさは筋肉の硬さだけでなく骨格の構造によっても個人差があるため、自分の身体にとって適切な可動域を守り、過度なストレッチや大きな動作には気をつけなければいけません。

特に骨盤や股関節は構造の違いが大きく、一般的に女性のほうが前屈や開脚が得意なのはこの骨格の違いが一つの要因となっています。

太ももの骨が骨盤に浅く付着している女性特有の骨格は、股関節の柔軟性にはメリットをもたらしますが、反対に股関節の痛みを引き起こすデメリットも抱えています。

股関節痛にも様々なものがありますが、その大半を占めるのは「変形性股関節症」と言われています。

変形性股関節症とは、股関節を形成する大腿骨頭(太ももの骨の先端部)とその受け皿となる骨盤の面(臼蓋)、もしくはその間にある軟骨が徐々にすり減ってしまうことで痛みや機能障害をもたらす症状です。

股関節には日常生活でも歩く、立つ、走るなど常に負荷がかかっています。
そのため加齢とともに発症リスクは高まり、平均40~50代、主に女性に症状が多く見られます。

女性の発症数が多い理由には、股関節の付着が浅い骨格の構造が関係しています。
骨盤にある臼蓋という受け皿は、太ももの骨に対して若干小さめに作られていますが、生まれつきこの部分がさらに小さい、もしくは成長過程でずれや歪みが生じてしまう場合があります。

この状態を「臼蓋形成不全」と呼び、これが変形性股関節症の大きな原因となります。

大腿骨を支える臼蓋が正しく形成されていないと、股関節には負荷が強くかかります。
過剰な負荷がかかり続けると関節の軟骨や骨にはダメージが蓄積し、慢性的に股関節の痛みを発症する可能性が高くなるでしょう。

臼蓋の形や骨格は先天的な条件もありますが、女性はもともと股関節が浅く作られていること、さらに関節周辺の筋力が弱いことから痛みを発する人が多いです。

変形性股関節症が悪化すると、脚を曲げたり歩くのもつらくなり日常生活にも支障をきたします。
痛みが大きい状態では手術や人工関節といった治療法を検討する必要があります。

関節をしっかりと守るために、股関節周辺を鍛えるトレーニングは痛みの予防になります。
また痛みがある場合には早期に関節の検査をしてもらうこと、ダイエットや日常動作、歩行改善などで股関節への負荷を減らすことが症状の軽減や回復に効果的です。

いつまでも元気に歩き、動ける身体作りのためにこういった関節にも目を向け、健康的な下半身を保っておきましょう。

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