栄養 身体について

骨代謝

シニアトレーニングについての記事内で筋肉や骨はなにもしないと加齢に伴って衰えてしまいますが、トレーニングによって年齢に関係なく強く鍛え続けることができるとお伝えしました。

筋肉はダンベルなどの重りを使った筋力トレーニングで鍛えられるイメージがあると思いますが、骨の構造や強さはどのように変化していくのでしょうか。
今回はそのあたりのメカニズムを解説していきます。

まず私たち人間の骨の数は、成人で約206本と言われています。
生まれたばかりの乳児には300本以上の骨があり、小さく分離していたそれらの骨が成長とともに徐々にくっついていくことで数が少なくなっていきます。
それぞれの骨が完全に結合するまで男性でおよそ18年、女性で15~16年かかると言われていますが、その過程やもともとの骨の数にも個人差があるため正確な本数は定まっていません。

背骨を構成する椎骨の数も基本的には頸椎が7個、胸椎が12個、腰椎が5個とされていますが、これも骨が形成される過程で変化します。
腰椎の下には仙骨という骨があり、通常は小さな骨が5個集まって一つの仙骨になるのですが、人によっては4個の骨で形成されている場合もあります。
そうすると仙骨のためにあった骨が1個余ってしまい、これがそのまま6番目の腰椎として存在するため、必ずしも腰椎は5個と決めつけることはできません。
その他頭蓋骨や骨盤、手や足の骨など様々な箇所で骨の結合は行われていきます。

大人になり結合や形状が安定した後でも、骨は新しく入れ替わり続けます。
骨を常に健康な状態に保つため、体内の「破骨細胞」と呼ばれる細胞が古くなった骨を壊していき、その部分に「骨芽細胞」が新しい骨を作っていきます。
骨を壊すことを「骨吸収」、骨を作ることを「骨形成」と言い、この工程を「骨代謝」または「骨のリモデリング」と呼びます。
骨代謝には2~6ヵ月ほど時間がかかりますが、一年間で全身のおよそ20%の骨が入れ替わるとされています。

こうして私たちの骨は日々メンテナンスを繰り返していますが、40~50代を境に骨量は減少傾向に向かいます。
それは骨を作る骨形成に比べて骨吸収の量が上回ってしまうため、骨代謝のバランスが崩れてしまうからです。
原因には加齢が関係していますが、特に女性は前回の記事でもお伝えしたように閉経後の女性ホルモン分泌低下が大きく影響します。
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは骨を壊す破骨細胞の働きを抑える作用がありますが、閉経後はエストロゲンの分泌量が減少し骨吸収が急速に進みます。
そのため骨がもろくなる骨粗しょう症患者の約8割は女性が占めています。

ホルモン以外に食事や運動も骨の健康維持にもちろん大切です。
骨の主な成分となるカルシウムだけでなく、カルシウムの吸収や骨への運搬を促進するビタミンD、骨の破壊を抑えるビタミンKも重要な栄養素になります。
他にもマグネシウムやたんぱく質なども骨形成に作用するためカルシウムと同じように欠かすことはできません。
加齢に伴い食事量や栄養素の吸収力は落ちてきてしまうものですが、若年層や中年層においても偏った食生活やダイエットのための極端な食事制限が骨の健康を妨げてしまう恐れが十分にあるということです。

そして筋肉と同様、負荷を与えることで骨も強くなります。
運動やトレーニングによる刺激、血流の増加が骨芽細胞の働きを活発にするためです。
身体や重りを支えたり強い力を加えることも良い負荷になるので、バーベルやダンベルを使ったスクワットやジャンプ、高齢者であれば階段の上り下りなど少し強度の高い運動は特に効果的です。
他にも四つ這い姿勢でのトレーニングなど上半身や手首で体重を支持する方法も全身の骨の強化に繋がります。

筋力だけでなく骨や関節の弱化、痛みは身体活動を制限する大きな問題となります。
実践的なトレーニング内容や各栄養素についてもまたご紹介していきたいと思います!

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