トレーニング理論 ピラティス・ヨガ 身体について

ランニングとピラティス

ランニングのためのトレーニングには様々なものがありますが、そのうちの一つとしてピラティスはやはりおすすめです。

ピラティスの特徴には、身体の深層部にあるインナーマッスルを強化できることや関節の動きを良くすることなどが挙げられます。そしてこれらの特徴がランニングの障害予防やパフォーマンス向上によい効果をもたらしてくれます。

ランニングフォームの改善には実際に走ることも大切ですが、安定したフォーム作りにはインナーマッスルの働きが欠かせません。

背骨や股関節など身体の各関節は一歩走る度に強い衝撃を受けています。
これらの骨や関節を身体の深層部にある筋肉がしっかりと支えてくれることでフォームの軸を保ち、ブレにくい走りを続けることができます。
体幹部が安定した走りは各関節や四肢(腕や脚)への負担を減らし、長い距離を走っても疲れにくくなってきます。
その結果、心肺機能や持久力の向上、さらには怪我や障害予防にも繋がってくるでしょう。

障害予防や疲労回復といった点では、呼吸による効果も期待することができます。

ランナーに必要な呼吸能力の一つに最大酸素摂取量(VO2max)というものがあります。
これは運動中に体内に取り込まれる酸素の最大量のことで、全身の持久力や体力を表す指標として用いられます。
測定数値としては、1分間に取り込まれる酸素の量を体重1kgあたりに換算して表します。(男性30歳の平均値は40ml/kg/分・トップランナーは70~85ml/kg/分)
この数値が高いほど体内でエネルギーを作ることができ、マラソンなどの有酸素性能力も高いとされています。

最大酸素摂取量を高めるためには心肺機能に負荷をかける必要があるため、ある程度強度の高い運動をしなくてはなりません。
インターバルトレーニングと呼ばれるような、自身の最大心拍数80~90%に及ぶ運動と休息を組み合わせたトレーニング方法も効果的ですが、ランニング初心者の方には身体への負荷も高いので、まずは普段より速いペースで走ってみることで心拍数の高い状態を徐々に維持できるように練習してみましょう。

しかし、こういった負荷の高いトレーニングやランニングは筋肉や関節だけでなく呼吸機能にも負担となります。
実際にランナーを対象にマラソンレース後の肺活量調査では、レース前に比べて20%程度低下するという結果も出ています。
これは息を吐くための呼気筋の疲労に加え、肺の気管支周辺や末梢の気道が縮小するためと言われています。
さらにレース後には、酸素を取り込むための肺の拡張機能低下も認められていることから、レース後半のパフォーマンス低下だけでなくレース後のエネルギー摂取、疲労回復にも影響を与えていると考えられます。

ピラティスのエクササイズでは呼吸への意識も高く、呼気筋の大半を占める腹筋群の強化、肺を拡張させるための肋骨や胸郭の可動性向上も大きい効果として得ることができます。
ピラティスの基本的なクラスではそこまで心拍数を高めることはないので、先に挙げた最大酸素摂取量や心肺機能の向上にはあまり関与しませんが、レースやランニング後または日常的にピラティスに取り組むことで正常な呼吸機能を保ち、全身の疲労回復に役立ってくれるでしょう。

一般的なマラソンレースに参加する人の半数はどこかしらに痛みや不調を抱えているとも言われています。
それほど普段のランニングやトレーニングの疲労が蓄積しているとも言えるので、同様に身体のケアやコンディショニングを整えることも大切です。
ピラティスの効果は一見地味なものですが、ランニングと同じく継続していくことで成果が見えてきます。
ランニングを長く続けるための一つの方法としてぜひ取り入れてみてください。

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