栄養 身体について

フレイル

前回の記事では健康寿命についてお伝えしました。
心身ともに健康で自立した生活を送るためには、日々の食事や運動習慣に気をつけて過ごすことが大切になります。

健康寿命と関連性のある言葉に、QOL(Quality of Life)というものがあります。
これは「生活の質」などと訳され、「より良く生きる」「充実した生活を送る」といった意味で用いられます。

生活に充実感や満足度を感じるのはあくまで主観的なところであり、QOLを高める要素にも様々なものがありますが、身体の健康というのはその内の一つとして欠かすことはできません。

高齢者を対象にしたある調査では、生活に生きがいを感じる理由として家族や友人との繋がり、趣味や仕事の有無、地域活動などが挙げられていますが、自身の健康状態が良くないと答えた人は、健康であると答えた人に比べて半数以下の人が生活に充実感を得られていませんでした。
他者との交流や社会的な活動をおこなうためにも、基本的な身体機能や体力を維持することが重要であるとわかります。

病気や怪我をせずとも、人は年を取ると徐々に身体の力が低下してきます。
加齢に伴って筋肉量が減少していくことを「サルコペニア」、筋肉や関節、神経系の機能低下によって立つ歩くといった日常の運動能力が衰えることを「ロコモティブシンドローム」と呼びます。

また身体や運動機能だけでなく精神や心理状態、口腔機能や認知機能など加齢や慢性疾患に伴う心身の衰弱を「フレイル」といいます。

心や身体の働きが弱くなっているフレイルでは、ちょっとした風邪や怪我が大きな病気を引き起こしたり、外部のストレスに抵抗できず精神力もどんどんと低下しやすい状態です。
これは医療や他者の助けを必要とする要介護の一歩手前の段階であると考えられるでしょう。

フレイルに陥る要因は様々ですが、先に挙げたサルコペニアやロコモティブシンドロームは、身体を衰弱させる大きな原因の一つと言えます。
加齢とともに筋肉は必ず衰えてしまうため、定期的な運動やトレーニングをおこなうことは体力を維持し、これらの進行を遅らせる重要なポイントになります。

さらに高齢者は食事の摂取量も減少し、低栄養にもなりがちです。
中年期までは内臓脂肪や体重の増加によるメタボリックシンドロームが健康上の課題とされることが多い反面、高齢期では痩せ型よりもBMI(身長と体重の割合)が少し高めのほうが栄養状態や総死亡率の統計から健康的であるとわかってきました。
たんぱく質やビタミン、ミネラルなど栄養バランスの高い食事を選ぶこと、また体力や口腔機能を保ち食事量の減少にも気をつけておきましょう。

運動や栄養に加えて、社会参加や地域活動もフレイルを予防する大切な行動となります。
趣味や課外活動を通じて外部との交流、周囲の人たちとのコミュニケーションも欠かさないようにし、ご自身の健康と充実した生活をぜひ保ち続けていきましょう。

カテゴリー

-栄養, 身体について

© 2020 training studio livitum