トレーニング理論

ファンクショナルトレーニング理論1

前回、機能的な身体とそのためのファンクショナルトレーニングについてお話をしました。
その中でも触れたファンクショナルトレーニング理論の5つの原則を今回は解説したいと思います。

1. 重力の利用(Use of Gravity)
まずは重力との関係についてです。地球上で生活している私たちの身体には常に重力によって負荷がかかっています。
その重力に対して抵抗し、身体を支えてくれる筋たちを抗重力筋と言いますが、これらの筋群がしっかりと働いていないと同じ重力下であっても身体の機能は低下してしまいます。
例えば階段を上る時でも、正しい姿勢で脚を引き上げるように上るのと、下を向いて背中が丸まったような姿勢で上るのとでは身体が感じる重さも変わってくると思います。おそらく後者の上り方では身体の重さも下半身にかかってしまい、太ももだけが疲れてくるのではないでしょうか。
通常なにか動作を起こす際、姿勢を正す筋と動きを作る筋がバランスよく活動しますが、姿勢筋の働きが悪いと動作のための筋が代わりに身体を支えなくてはいけません。
そうすると必要以上に負荷がかかってしまったり、本来の目的である動作のパフォーマンスが損なわれてしまいます。
ですので、機能的な身体づくりのためには重力下できちんと姿勢を保ちながら動作を遂行するトレーニングが効果的になります。
ベンチやマシンにもたれたまま行うトレーニングだけでなく、立位や四つ這いなど姿勢をコントロールするエクササイズも取り入れていきましょう。

2. 分離と共同(Dissociate & Integrate)
身体の関節には可動域といわれる動く幅が決められており、その可動域内で動作を思うようにコントロールできる「可動性」という役割について以前の記事で解説しました。
それに加えて関節には「安定性」という役割もあり、この二つを動作の中で正しく使うことが二つ目の原則になります。
全身の関節の数は何百とありますが、動作を起こすための主要な関節には「可動性」と「安定性」どちらかの機能が大きく備わっており、それぞれの機能が交互に積み重なるように関節が構成されています。例えば股関節の主な役割は可動性であり、その上下には安定性の役割を持つ腰椎と膝関節があります。動作の例を挙げると、スクワットの時に股関節は深く曲がっていきますが、その上にある腰椎は腰を丸めたり反ったりしないように安定性の機能を発揮しています。また下にある膝関節も屈曲はしていますが、膝が内や外に向かないように左右の面で安定性を保っています。
このように各関節が持っている役割を使い分け、可動性と安定性を同時に高められるトレーニングであることが二つ目の原則になります。
身体は可動性と安定性それぞれの機能を持つ関節が交互に重なるように構成されている、というのはJoint by Joint Theory(JBJT)とも言われ身体動作に欠かせない理論となっています。こちらについてもまた別記事で解説したいと思います。

3. 3面運動(3Dimension Movement Pattern)
日常動作やスポーツの動きにおいて、身体は基本的に直線運動ではなく3つの面を合わせた動作を起こしています。
まっすぐ歩いている時でも腕や脚を前後に振ることで骨盤や体幹は左右に捻られ、支持している片脚は身体が横に倒れないようにバランスをとっています。
従ってトレーニングの中でも1面の動きだけでなく、できるだけ多くの面を使用するエクササイズを行うことで、より機能的で立体的な動作が身についてきます。
3つの面は矢状面、前額面、水平面と分けられ、各面の動作は以下のようなものです。
・矢状面|腕や脚の前後の動作や、前屈後屈など身体を縦に動かす面(屈曲・伸展)
・前額面|腕や脚の左右への動作や体幹の側屈など身体を横に動かす面(外転・内転・側屈)
・水平面|腕や脚を内や外へ捻る動作や体幹の回旋など身体を水平に動かす面(内旋・外旋・回旋)

一般的なトレーニングであるスクワットやクランチ(起き上がる腹筋)は縦方向への動作なので矢状面の運動になります。
矢状面は基本的な動作が多いのでもちろん重要ですが、普段あまり歩くこともなく運動量が少ない人は身体を捻ることがなく、水平面の運動機能が低下してしまいます。
スポーツをやっていない人であっても、トレーニングでは3面の動きを組み合わせて身体機能の向上を目指しましょう。

ここまでファンクショナルトレーニングの5つの原則のうち3つをご説明しました。
残りの2つについてはまた次回取り上げていきます!

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