ピラティス・ヨガ 身体について

過換気症候群

前回、血液中の酸素飽和度についてお話をしました。
呼吸によって体内に取り込む酸素が十分でない場合、血中の酸素飽和度(酸素濃度)は低くなります。
この酸素飽和度が低い状態が続くと息苦しさやめまいを感じたり、ひどい場合には呼吸困難に陥ります。

症状が悪化する人には呼吸器や循環器系になんらかの疾患があったり、肺炎を患っているなどの原因がありますが、日常的なストレスや体調不良、呼吸の乱れによっても酸素飽和度は変化します。
よって普段の健康やストレス管理、ピラティスやヨガのレッスン中であれば特に呼吸に意識を向けることで酸素を血中に効率よく取り込み、元気に身体を動かすエネルギーを作り出してくれるでしょう。

では反対に呼吸数が浅い、多いなどの状態で酸素を吸いすぎている人はどうでしょうか。
この場合は一般的に過呼吸といわれる過換気症候群(過換気発作)の症状に当てはまります。

過換気症候群とは、呼吸の乱れによって体内の二酸化炭素濃度が減り、通常中性である血液がアルカリ性へ傾いていきます。
その症状としては低酸素濃度の時と同様に息苦しさ、その他動悸やめまい、手足のしびれや意識の消失を起こす可能性もあります。
それくらい体内の酸素や二酸化炭素、血液の濃度、普段の呼吸の大切さが身に染みてきます。

過換気症候群の原因もストレスや不安、強い緊張といった心理的要因から、激しい運動や疲労、体調不良などの身体的要因まで様々です。
症状が出てからの対象法としては気持ちを落ち着かせ、酸素を吸いすぎないように安定した呼吸を繰り返すことですが、日々の呼吸も同じような心掛けで発作の予防をすることができます。

浅く頻繁な呼吸は酸素を取り込みすぎるとともに、二酸化炭素を十分に吐き出せません。
息を吐いた後に肺に残っている空気を残気量といいますが、この残気量が多いと肺は膨張したままになり続けてうまく息を吸うことができません。
そのため呼吸は浅くなり、さらに酸素と二酸化炭素のガス交換も不十分なので呼吸の数も自然と多くなってしまいます。

これも日頃のストレスや緊張などが関係し、そういった心理的要因を取り除くことも必要ですが、呼吸方法にも改善点があります。

呼吸が浅くなっている人の多くは、主に肩や首を使って呼吸をしています。
そうすると肺の上部だけでガス交換をしているような形になり、肺の下部には空気が残っています。
この残っている空気を吐き切るようなイメージで呼吸をしてみましょう。

胸の下部、もしくはお腹に手を当てて軽く押しながら息を吐いてみます。
肺の下のほうから空気が出ていくのを感じられたでしょうか。

またはお腹を使った腹式呼吸も呼吸改善に効果的です。
息を吸った時に肩を上げずにお腹を膨らませ、そのお腹をへこませるように息を吐き切ります。
自然と吐く量が多くなり、一呼吸の時間も長くなっていきます。

呼吸が安定すると脈拍や心拍も落ち着いてくるので、呼吸改善は身体の休息やリラックスにも繋がります。
座ったままや寝ながらでも行えるので、一日のうち数呼吸だけでも自分の呼吸に目を向けてみてください。

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