栄養 身体について

睡眠前の食事2

前回の記事では睡眠前の食事について、避けておきたい食べ物や飲み物をお伝えしました。
寝る直前の食事は内臓に負担をかけてしまうのでなるべく控えておくのが基本ですが、タイミングや摂取量をコントロールすることで、睡眠の質を高める手助けとなる食材もあります。

快眠を促進する主な栄養素には、「トリプトファン」と「グリシン」という必須アミノ酸が挙げられます。
必須アミノ酸は体内で十分に作り出すことができず、食材から摂取する必要がある栄養素です。

トリプトファンは体内でまずセロトニンという神経伝達物質に変化します。
セロトニンにはドーパミンやノルアドレナリンを制御し、精神を安定させる働きがあります。
脳をリラックスさせ、気持ちを落ち着かせることは深い眠りにつくための第一歩として欠かせません。

またセロトニンは、夜になると体内時計や睡眠、覚醒リズムなどを調節するメラトニンというホルモンを生成します。
体内の生活リズムを整えることで寝つきや睡眠の質も向上してくるので、このセロトニンのもととなるトリプトファンを含んだ食材を意識して摂取してみましょう。

トリプトファンを含む主な食材
・豆腐、納豆、味噌などの大豆製品
・チーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品
・米、オートミールなどの穀類
・バナナ
・ごま
・アーモンド、カシューナッツなどのナッツ類

その他、肉や魚類にもトリプトファンは含まれていますが、睡眠前に脂肪分過多になってしまうことと、動物性たんぱく質の作用によって体内にトリプトファンが取り込まれにくいという点から、植物性の食品から摂取することをおすすめします。

睡眠の質を高めるもう一つの栄養素はグリシンです。
グリシンもトリプトファンと同様に食べ物から補わなくてはならない必須アミノ酸ですが、ある研究ではこのグリシンを摂取することで就寝後、徐波睡眠(深い眠り)に早く到達し、その時間も長くなっていることが明らかになりました。
また夜中に目を覚ます中途覚醒や早朝覚醒の回数も減っており、グリシンによって安定した睡眠リズムと熟眠感が得られていると言えるでしょう。

この作用は、グリシンによる深部体温の低下が関係していると考えられます。
就寝時には体温が下がることで眠気が促進される、と前々回の記事でもお伝えしましたが、グリシンを摂取すると末梢部分の血流量が増加し、手足からの熱放散が進みます。
その結果、体内の深部体温も低下しスムーズな入眠と安定した深い睡眠へ導いてくれるのです。

グリシンにはその他にも起床時や日中の疲労感軽減、集中力向上といった効果も望めます。
日中の眠気に悩まされたり、睡眠の質を改善したいと考えている方は、こういった栄養素に着目して食事を組み立ててみるのもよいかもしれません。

グリシンを含む主な食材
・鶏の手羽
・牛もも肉
・カジキマグロ、エビ、イカ
・ホタテ、ハマグリ、アサリなどの貝類
・落花生、そら豆、枝豆などの豆類

グリシンは主に動物性コラーゲンに多く含まれているため、トリプトファンと同じく脂肪分の過剰摂取や就寝直前の食事には気をつける必要があります。
グリシンを摂るためのサプリメントも市販されているので、うまく活用して快適な睡眠を過ごせるように食生活をプランニングしてみましょう。

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