トレーニング理論 身体について

ポテンシャルの向上

アスリートや様々なスポーツに打ち込んでいる選手にとって、競技の練習とは別にウエイトトレーニングなど体力を向上させるメニューもとても重要です。
前回の記事でもお伝えしたように、技術練習と体力トレーニングはそれぞれ主目的が異なり、お互い独立して実施したほうが効率よく安全に能力を高めていくことができます。

スポーツのパフォーマンスを高めるためには、その競技専門の技術を高め、競技自体がうまくなること以外にありません。
ただ、技術を高めるためには体力も必要となり、体力トレーニングはその選手の技術やパフォーマンスを支える下地となるでしょう。

技術の練習は、今自分が持っている身体をいかに使って競技の動作を実行できるか、それを高めていくことが第一の目的です。

例えば、まったく同じ身体能力、筋力の人間がいるとして、片方の人にだけ毎日野球のピッチングの練習をしてもらうとします。
その人は練習を重ねることで投げ方のコツや身体の操作性を習得し、少しずつピッチングが上達していくでしょう。

これはピッチングの技術練習を繰り返した成果によるもので、一切練習をしていないもう片方の人がピッチングをしてみても、いきなり完璧な球を投げることはできません。

このように技術練習を積み重ねることで、その競技のパフォーマンスは向上していきます。
しかし身体のパワーやスピードには限りがあり、パフォーマンスはその体力レベルの限界値までしか高めることはできません。

先ほどのピッチングの話を続けると、いくら技術練習を繰り返してピッチング(球の投げ方)が上達したとしても、投げる球の速さはある程度のところで伸び悩んでしまいます。
それにはピッチングのフォームや重心移動など、様々な細かい技術が不足している部分もありますが、速い球を投げるだけの体力が備わっていないということも考えられます。

どんなに完璧なフォームで球を投げられるようになっても、速い球を投げるためには地面を押す力や身体を回転させる力、腕を振る速さなど筋力や柔軟性によって身体が出せる力(出力)を高める必要があり、それらは技術練習だけでは補えません。
150kmのボールを投げたいのであれば、相応の身体の強さや柔らかさといった体力要素が不可欠であり、そこにその身体を上手にコントロールする技術が合わさることで速球を投げるというパフォーマンスが成立します。

また、実際に試合になれば何十球とピッチングを繰り返さなければならず、速球を投げ続けるパフォーマンスを維持するためには筋持久力や関節、靭帯の強さ、無駄のない身体の使い方が求められます。
それらを高めるためにはただボールを投げ続けるだけではやはり限界があり、故障のリスクも上昇します。
それぞれの体力要素に特化したトレーニングを取り入れることで、良いパフォーマンスを継続して行う能力も高まってくるでしょう。

もちろん体力をどれだけ鍛えても、それを上手に扱う技術がなければ速い球は投げることができません。
良いパフォーマンスは体力と技術の重ね合わせであり、体力が高い人はパフォーマンスが向上するポテンシャルも高いと言えるでしょう。

その他トレーニングの効果についてもまたご紹介していきたいと思います。

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