トレーニング理論 身体について

技術と体力

前回、トレーニングの種類についての記事の中で、アスリートはウエイトトレーニングを含む様々なトレーニングを実践しているとお話しました。
アスリートの目的は競技のパフォーマンスを高め、試合に勝つことですが、ではこういった体力トレーニングは実際のプレーにどのような効果をもたらしてくれるのでしょうか。

良いプレーをするためには、その競技のスキルやテクニックを高める必要があり、日々の練習においてもそういった技術練習に時間を割かれることが多いと思います。

限られた時間の中で、競技自体の練習ではなくトレーニングを取り入れる理由や効果について前回よりも少し詳しく考えてみましょう。

まずここで言うトレーニングとは、主にウエイトトレーニングのことを指し、筋力や持久力、パワーなど体力を向上させるのが一番の目的になります。
反対に、競技練習の主な目的は技術を向上させることであり、トレーニングと練習ではそれぞれ目的に違いがあります。

もちろん技術練習によって筋力や体力が向上することもありますが、これは副次的な効果であり一番の目的ではありません。
特に競技を始めたばかりの選手などは、技術練習を行うだけでも身体にとって大きな刺激となり、練習に耐えうるための体力や持久力が身につきます。

しかしある一定の体力レベルまで達した選手は、技術練習だけでは体力を向上させるまでの刺激には至らず、その分トレーニングによって大きな負荷を身体に与えていきます。

一方、トレーニングの主な目的は体力を向上させることですが、こちらも副次的に技術を高める効果をもたらします。

例えばゴルフのスイングの際、上半身が安定せずにブレてしまう選手がいるとします。
この選手がトレーニングによって腹筋や背筋など体幹部の筋力を鍛えた結果、上半身も安定してスイングすることができるようになり、トレーニング前より良いスコアを出すことができるかもしれません。
この場合、トレーニングには体幹を鍛えるという目的で取り組んでいたにも関わらず、スイングが安定するという副次的な効果も得ることができています。

スイングを安定させるために、上半身をもっとコントロールして振るという練習ももしかしたら効果を発揮するかもしれません。
しかし過度な反復練習は関節を痛めたり、怪我の原因にもなりかねます。
また、そもそもスイングを安定させるための筋力が不足している状態では、技術の練習の前に体力の強化も十分に必要となります。

このように体力を強化することが目的のトレーニングも、競技の技術を補完的に向上する効果を持っていることがわかります。
ですが、それはあくまで副次的な効果に過ぎず、トレーニングをしたからといって技術も確実に上達するわけではありません。

トレーニングで強化した体力要素をしっかりとパフォーマンスに生かすためには、それらを競技の技術に転移することが大切になります。
いくらトレーニングで筋力を高めても、ゴルフの飛距離が伸びなかったり、走るスピードが変わらなかったりすることも往々にあり得ます。

そこで改めてスイングの練習や走り方の練習が重要になり、トレーニングで得た体力が技術に生かされてきます。
こういったトレーニング効果の転移や競技力を高めるトレーニングについても、またご説明したいと思います。

カテゴリー

-トレーニング理論, 身体について

© 2020 training studio livitum