栄養 身体について

体温調節

体温を調節する機能は、脳内の視床下部にあります。
視床下部は脳の中心部にあり、体温の他に食欲や睡眠、体内の水分量なども調節しているとても重要な部位です。

この視床下部にある体温調節中枢が、常に体温を一定の温度(通常は37℃前後)に保つ役割を担っています。
寒さや暑さなどの外的要因、または風邪やなんらかのウイルスへの感染、炎症といった病的要因によって体温に変化が生じようとしている場合、体温調節中枢が身体の各部位へと指令を出し、体温を適切な温度へと調節してくれています。

身体は外部の環境変化を皮膚で感じ取ります。
体温より寒い環境にさらされると、視床下部からは体内の熱を逃がさないようにする指令と、熱を産生するための指令が出されます。

熱を逃がさないように身体はまず毛細血管を収縮し、血流を低下させます。
手足など身体の末端部や皮膚の表面から熱は放出されやすいので、血管の収縮によって熱を運ぶ血液をできるだけ送らないようにしているのです。

それでも体温調節がうまくいかない場合、身体は熱を作り出そうとします。
熱を発生する方法として視床下部は身体(骨格筋)を震えさせます。
寒い時に自分の意思とは関係なく身体がぶるぶると震えるのは、定められた体温を保つために脳が指令を出している証拠ですね。

反対に身体が体温より暑い環境にさらされると、視床下部は熱を放出させるよう全身に指令を出します。
すると先程とは逆で、毛細血管を拡張し血流をよくすることで熱の放出を促します。
また身体が暑くなると私たちは自然と汗をかきますが、これも汗が蒸発する際に皮膚表面の熱(気化熱)を奪うことで体温を下げる一つの方法だと言えます。

このように身体が寒さや暑さを感じている場合、脳は無意識に体温をコントロールをしてくれています。
これは自律性体温調節と呼ばれますが、反対に自分の意思で上着をはおったり、冷暖房をつけて体温をコントロールしようとすることを行動性体温調節と言います。

体温は脳の視床下部によって一定に保たれているということでしたが、身体の各部位になにか問題があるとうまく役割を果たすことができません。
例えば血管の収縮や発汗を促す自律神経が乱れている、または普段から筋肉が硬く血流も悪くなっているなどの場合にはせっかく視床下部からの指令を受け取っても、きちんと機能することができず体温調節の効果が弱くなってしまいます。

そもそも体温を一定に保つのは、体内で起こる様々な化学反応のためです。
食べ物を分解してエネルギーへと変換する代謝活動、多くの菌から身体を守る免疫系などの働きが最も活性化するのが36~37℃とされています。
免疫系は体温が1℃下がると、機能も30%低下すると言われるほど温度に敏感です。
私たちの脳はどのような環境においても生命活動を維持するために、常に体温を一定に保ってくれているということですね。

日常生活ではあまり気にすることない体温ですが、基礎体温や各部位の体温を知っておくことは健康管理に役立ちます。
また環境や気温の変化によって体調を崩しやすい人は体温調節の機能が弱まっているかもしれません。
トレーニングやスポーツなどの適度な身体活動、心身の休息をバランスよくとることで身体機能をしっかりと高めておきましょう。

日々の活動だけでなく、食事からも体温は影響を受ける可能性があります。
身体を温める食べ物や、反対に冷えを起こす食事についてもまたお伝えしていきたいと思います。

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