トレーニング理論 身体について

脱力

前回の抗重力筋についての記事でもお話しましたが、私たちの身体は重力による負荷を常に受け続けています。
動作がない状態でも筋肉は身体を支え、さらに姿勢の乱れや動きの癖によって特定の部位に負荷をかけすぎてしまいます。

負荷に抵抗して働きすぎている筋肉、反対に使われずに機能が低下している筋肉、これらが全身のバランスを崩し、動きにくさや慢性的な不調、痛みなどを引き起こしてしまいます。

日常的に身体のだるさや疲労を感じていたり、背中や腰などに張りや痛みを抱えているという人はこういった筋肉のアンバランスが原因となっているかもしれません。

それを解消するためには、全身の不均衡を整え、元の状態に戻すことが大切です。
筋肉の硬さや強さ、骨格などを元通りにすることで身体は機能を取り戻し、姿勢や動作も自然と正されていくでしょう。

では身体のバランスを整えるためには、どのような方法が効果的なのでしょうか。

初めにお伝えしたように、筋肉には働きすぎている部分とあまり使われていない部分があります。
この筋群同士の釣り合いをとるためには、使われていない筋肉を鍛えるのが良いと思われますがそう簡単にはいきません。

まず使われていない筋肉は動く機能がそもそも弱っているので、鍛えようと思っても十分に力を発揮することができないのです。

さらに他の働きすぎている筋肉が、この弱っている筋肉の動きを妨げてしまいます。
これは筋肉の働きすぎによる過緊張がもたらす機能障害で、これを改善することが筋バランスを整える大きなポイントになります。

通常、筋肉は収縮することで力を発揮し、姿勢保持や関節の動きに作用します。
その収縮状態が長時間続いたり、ストレスや疲労などによって筋肉は硬く縮んだ状態(過緊張)になってしまいます。

過緊張した筋肉は緩むことができず、力をコントロールすることができません。
そのためトレーニングする前にはこういった筋肉の緊張をとり、上手に力を発揮できるようにしてあげることも重要だということですね。

筋肉を緩めるためにまず必要なのは脱力です。
筋肉は動かそうとすると緊張してしまうため、なるべく力の入らない、負荷のかからない状態にしなくてはいけません。

これにはやはり姿勢や身体の位置が大事であり、脱力するためには重力に対してできるだけ楽な体勢をとります。
重力から解放された筋肉は力を発揮する必要がなくなり、緩んでよい状態に変わります。

筋肉の緊張が解け、周りの靭帯や関節も緩むことで身体はもともとの筋機能や骨格のポジションを取り戻すことができるようになってきます。

日常生活で身体が一番脱力している状態といえば睡眠中です。
寝ている体勢、特に仰向けでは重力による負荷は小さくなり、力を入れる必要もありません。

本来はこの睡眠によって私たちは身体を休め、筋肉に限らず様々な機能を回復、リセットしていると考えられます。
しかし現代の生活では、睡眠時間の短縮やスマホを使用しながらの睡眠、精神的な緊張やストレスなどで十分な睡眠をとれていない人が多いのではないでしょうか。

トレーニング前のストレッチや身体を緩めるエクササイズももちろん有効ですが、毎日の睡眠もとても大切だということがわかりますね。

また日中や寝る前のちょっとした体操、ご自身でできるセルフケアも身体の緊張を解し、疲労回復や質の良い睡眠の導入となります。
日々の睡眠環境、就寝前や起床後の身体の状態にも少し目を向けてみるのもよいでしょう。

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